本割込鍛造→荒研磨→との粉ぬり→焼入れ→背磨き→柄付け→水研磨→仕上げ刃付けと全ての工程が手作業で行われます。炎を上げる釜の中で熱せられた刃はみるみる赤く染まって行きます。その赤まり具合を確かめるのも長年培った職人の勘。金床でトンテンカンとちきり部分が叩かれます。刃の側を先にして再度火の中で赤々と熱せられます。次に刃先から根元・峰部分とトンテンカン。本割込鍛造された刃は荒研磨された後、焼入れです。赤められた刃が水につけられジュッと音を立てたとき刃物に魂が入るのです。最後の柄付け仕上げまで見事なまでのすべて手づくり。日本唯一の鍛冶屋としての誇りを感じます。
ステンレス製の型押しオートオートメーションとは違う、一つずつ微妙に形の異なる刃先。割込みをして本格的に鍛造した肥後守は、鋭い切れ味。
これが何とも言えない「オトナ気分」を味わえる子どもの頃の宝物だったのです。手をすべらせて指をかすめ痛さを体験する。その痛みを味わう事でケガをしない・させない扱い方を学んでいったものでした。
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