なんと、この西口良次さんは、たたら製鉄法でできたケラから小刀を造るのに成功した始めての人なのです。たたらとは土を固めて作った古代の溶鉱炉のことで、この中に砂鉄を溶かして鉄塊を作ります。その鉄塊がケラです。完成したのは長さ21cmの小刀が6丁。「ケラから刃物を作ってほしい」との要望から出来上がったこの小刀は、鍛錬に時間と労力がかかる上、温度調節が難しく、繊細な業と巧みな技術が必要になるため、失敗する人が数多くいたそうです。
今では作られなくなった神社や仏閣などを解体した時にでる貴重な「和釘」を、丁寧に叩き上げて造られる味のある小刀や、昔ながらの製法で造られる様々な小刀は息を飲む逸品です。
現在では、若い小刀職人に指導を行いながら伝統工芸のすばらしさを伝え守る一人として活躍しています。
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